『新装版 殺戮にいたる病』を選ぶ手がかり
- 物語の入口
- 連続殺人者の行動を、息子を疑う母親や犯人を追う元警察官の動きとともにたどる。
- 構成・この版
- 2017年10月13日刊、講談社文庫の新装版・368ページ。作品の単行本初刊は1992年。
- 注目したい違い
- 本ガイドでは、人物による行為の説明と、その説明を読者がどう受け取るかに注目する。
- 読む前に
- 性暴力や遺体の損壊を伴う殺人が中心にある。題材と描写の強さを踏まえて、今読む本かを選びたい。
設定・書誌は参照元に基づきます。「注目したい違い」と読み方は、作品を選ぶための当サイトの提案です。
どんな本?
東京で連続殺人を重ねる蒲生稔。息子への疑いを抱く母親と、犯人を追う退職した警察官の動きも描かれる。殺人者の行動をたどる我孫子武丸の犯罪小説を、2017年刊の新装文庫版で紹介する。
本ガイドでは、人物が行動をどう説明するかと、実際に誰へ何をしたかを切り分けて読む。犯人が使う愛という言葉を、そのまま作品全体の価値判断として受け取らないための着眼点である。強い暴力描写を伴う物語として、読む題材を選びたい。
こんな関心がある人へ
- 犯罪を語る人物の言葉と行動のずれを読みたい
- 家族への疑いと事件の調査を並べて考えたい
この本を読む、3つの視点
言い分と行為の距離を測る
愛を求めるという本人の説明が、他者への暴力をどう覆い隠しているかを考える。言葉だけを書き留めず、同じ場面の行動も隣に置くことで、人物の理屈と読者の評価を分けてみたい。
家族への疑いと捜査の違い
母親が息子を見る立場と、元警察官が犯人を探す立場では、知りたいことも疑う負担も違うだろう。同じ事件に向けられた問いを、誰が何のために問うのかという形で整理する。
初刊の時代と現在の自分
作品の初刊は1992年で、指定ISBNは2017年の新装版。書かれた時期と版の刊行年を分け、家族の役割について自分が当然だと思う見方を持ち込んでいないか、読後に考えてみたい。
読み終えたら、考えてみたいこと
正解を探すためではなく、自分の読み方を見つけるために。
- 人物の言葉が、自分の行為を説明するために使われていると感じたのはどこだった?
- 家族だから分かるはずだと思ったことと、本文で実際に分かったことに違いはあった?
自分の読み方を残す、小さなメモ
あらすじを書き写す代わりに、一つの場面から自分の問いを残す方法です。
説明の言葉に行為を添える
人物の印象的な説明を、自分の言葉で短く残す。そのとき誰に何が起きていたかを添え、説明だけが独立して納得できるものになっていないかを見る。
自分の前提を読後に一つ探す
読み終えたら、家族や人物の役割について当然だと思っていたことを一つ振り返る。本文に書かれていたことと、自分の経験から補ったことを分けるための提案。
読む前に、確かめたいこと
ISBNの本は1992年に出た版ですか?
9784062937801は2017年の新装文庫版です。出版社は1992年の単行本、1994年のノベルス、1996年の文庫を経た新装版と説明しています。
仕掛けを知らずに選ぶ材料はありますか?
連続殺人者の言葉と行動、家族の疑い、犯人を追う人という導入から選べます。本ガイドは、人物関係の真相や読み解くための具体的な仕組みを説明していません。
犯罪の心理を解説する専門書ですか?
出版社の分類はミステリー小説です。人物の語りを現実の人の診断や犯罪者一般の説明に広げず、この作品の言葉と行動として読むことを提案します。
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この読書ガイドについて
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